愛、縋る

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内容はやっぱり主に恋バナだった。 真依の彼氏の話を聞いたり、私は悠真とのことを聞いてもらったり。幸せいっぱいにお互い惚気まくっていた。 そんな時だった。突然、向かいに座っていた真依が窓ガラスに両手をつき、身を乗り出すようにして何かを目で追い始めたのだ。 『ねえ、あれ…東条(とうじょう)先輩じゃない?』 『え?』 『てか誰あの女…え、浮気?』 『女…?浮気…?』 ポテトをもぐもぐ頬張っていた私はその言葉にすぐさま目線を下へと向ける。 休日の夕方、駅前。 人で溢れるその場所でも、私はすぐに悠真を見つけることができた。 “音羽が俺に似合いそうって言ってた髪色にしてみたんだけど…どうかな?” だって…私のために染めてくれたアッシュベージュの髪が夕日に映えて綺麗だったから。 幸せだった悠真との日々が、ガラガラと音を立てて一瞬で崩れ去っていくのを感じていた。 見知らぬ女性の肩を抱き、駅前のラブホテルへと消えていった悠真の背中を呆然と見ながら… “音羽が一番好きだよ” この日、この時、この場所で。 私は初めてこの言葉の意味を理解したんだ。
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