愛、縋る

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それから何分くらい乱れる男女の声を聞いていたのだろうか。 携帯を耳から離すことすらできないほど、絶望感でいっぱいだった。 愕然とする私が携帯を持っていた手をダランと下げる直前。耳元から聞こえてきた悠真の声は、今でも耳にこびりついて離れない。 『音羽もっ…こんな俺が一番好きだよね?どこにも…行かないよね?』 切なさを孕んだ声が私に縋り付いてくるみたいで、悲しそうで… 何一つ悪いことをしていない私の方が心が痛んだ。 私は本当にバカだった。 この時、悠真との関係を切っておけば私の人生もう少しマシだったかもしれないのに… 今更そんなこと、いくら考えたって時間を巻き戻すことなんて不可能で。 “こんなはずじゃなかった”なんて、そんな人生を歩んでいるのも全部、全部…自己責任だ。 私が未だに悠真から離れられないのも、全部そう。
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