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『ちょっと待って。え?どういうこと?』
『今まで黙っていて悪かった。沙耶に口止めされててな』
『口止め…?』
『沙耶は…子供の頃から長く生きられないと主治医に言われている。もういつ心臓が止まってもおかしくない』
壊れないように守り続けてきたものは与えられた衝撃に耐えきれず、無様に砕け散った。
沙耶は長く生きられない。
沙耶が……死ぬ?
心が追いつかず、目がチカチカする。
頭には鈍い痛みが走った。
『そんなの嘘だよね…?』
声にならない声で呟いた恭弥は明らかに動揺していた。
普段笑顔を絶やさない分、喜怒哀楽の表現が下手なのだと思う。
唇を震わせながら笑っている恭弥は見ていて辛かった。
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