愛、散る【暁side】

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『…もしもし』 『アキー!ハッピーバースデー!』 『…嬉しくないから』 『うん、知ってるよ。でも言いたかった。ごめんね?』 『……』 せっかく祝ってくれた沙耶に謝らせてしまい、罪悪感でいっぱいになる。 例えば何でもない日に捨てられていたとしたら、素直に“ありがとう”と言えたのだろうか。 ケーキを食べて、プレゼントを貰って、一つ歳を重ねた喜びを噛み締めて。 …そうだったら良かったのに。 誕生日を迎えるたび、この世に生まれて来た意味を考える。 答えはまだ出ないままだ。 母親が俺の誕生日を選んで捨てたのは偶然じゃないと思っている。 最後の瞬間涙を流していた記憶からして、俺に対する愛情がなかったわけじゃないんだ。 どんな形でもいい。 この日が来るたび自分を思い出してほしいという勝手なエゴにより何年も苦しめていること、今現在幸せに暮らしているであろう母親は想像もしていないだろう。
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