愛、散る【暁side】

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目が覚めると本当に海に居たのかと錯覚するほど全身汗でびしょびしょに濡れていた。 深く息を吐き、放り投げていた携帯の電源を入れる。 カーテンは閉め切り、電気はつけっ放しのまま寝てたから時間の感覚がなく、携帯に表示された時間を見てもう夕方なのだと驚いた。 確かパーティーが始まるのも夕方からだ。 …今ならまだ間に合うかもしれない。 頑なに行くことを拒んでいたのに、あの夢の影響なのか行かないと絶対後悔するという気持ちに変わっていた。 汗に塗れた体を流そうとシャワーを浴びながら落ちてくる水滴に手を翳してみる。 やっぱり触れた途端に弾けて散った。 人間は失ってから大切なことに気付く生き物だ。 よく聞く言葉だが、初めて意味が分かった気がした。 それは、リアルな夢の中で沙耶を失う経験したから。 沙耶はずっと一緒に生きてきた大切な存在であることに間違いはない。 でも、それだけじゃない大きな気持ちが心の奥底に宿っていた。 失うのが怖いのは…好きだからだ。 自分でも知らない間に特別な感情を抱いていたことに気付かされたからこそ、行くべきだと思った。
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