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「由希子さんは何にします?」
「そうねぇ、どれも美味しそうだけど…よし、ジェラートに決めた!」
「じゃあ私はアフォガードで。音羽は?」
「私は…」
いつもなら迷いなく大好物のティラミスを選ぶと思う。
でも、今は…
初めて会った日、彼は自分のティラミスを私に譲ってくれた。
美味しそうに食べてたからと、二回目に会ったときにはティラミスラテを買ってくれた。
彼と離れて強くなったつもりだったのに、まだまだダメらしい。
食べ物一つで次々と思い出がよみがえってしまう。
「…今日はパンナコッタにしようかな」
「オッケー。注文するね」
「ありがとう。ちょっとお手洗い行ってくる」
残りのパスタを掻き込んで、愛想笑いを崩さないように席を立つ。
他人に弱さを見せるのが苦手なのは相変わらずだ。
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