愛、揺れる

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「パーッと飲もうよ、パーッと」 「うーん…また迷惑掛けちゃうといけないし、軽ーくでいいなら付き合うよ」 「そうね。グロッキーになって泣いたりするのは勘弁してほしいし」 「うっ…」 お酒で二度も他人に迷惑を掛けた私には耳が痛すぎるお言葉に返す言葉もございませんとばかりに俯いた。 シュンとする私を横目に、菫は手櫛で綺麗に梳かした髪の毛をシュシュで一つに纏めていく。 「なーんてね。うそうそ、冗談」 「自己管理には充分気を付けま~す…」 「冗談なんだからいじけないでよ。今日は音羽の行きたいお店でいいからさ。ね?」 仕上げにワインレッドの口紅を塗り、鏡に向かってニッコリ笑顔の練習をする菫は余念がない。 「私が行きたいお店?」 「そ。居酒屋でもバーでも、なんならファミレスでもばっちこいよ。お酒が飲めりゃそれでOK」 全ての準備を終え完全に受付嬢モードに入った菫は愛想良く微笑むと、「先行ってるよ」と私に声を掛けて更衣室から出て行った。 ファミレス、か。お手軽でいいかも。 明日も仕事だし…うん、今日はファミレスで決まりかな。
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