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『音羽ちゃん、俺と付き合わない?』
ーーー思い返せばこの告白が全ての始まりだった。
当時悠真は地元で同じ高校に通っていた一つ上の先輩で、私が密かに想いを寄せていた初恋の人でもある。
その親しみやすい柔らかな雰囲気と、女性が放っておかない甘いマスク、甘え上手な人懐っこさ。
そんな悠真に、女の子達はみんな憧れの眼差しを向けていて、私もまた悠真に夢中だった。
流石に、悠真が突然告白してきたことには驚きを隠せなかったけれど…
あの頃の私はまだ16歳の子供で、人の汚さとか弱さとか怖さとか、そんなの全く分かっていなくて。
だから憧れていた悠真からの告白を断る理由なんてもちろん無いに等しくて、その真意を特別深く考えることもなく悠真との交際が始まったんだ。
まだ子供だったから、と言ってしまえばそれまでだけど…
今になって思えば悠真を独り占めできることが嬉しくて心のどこかで優越感に浸っていたのかもしれない。
悠真が選んだ女は私なんだっていい気になって、抜け出せなくなるくらい深く、深い所まで悠真にのめり込み、私の初めては全部悠真に捧げた。
後悔なんてしない。
そう思えるほど、あの頃は悠真が好きだったから。
だからこそ、悠真も私と同じ気持ちなんだって、疑うこともなくバカみたいに信じてた。
あの日、までは…____
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