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「どんな外観のお店なのよ?」
「小さな煉瓦造りのお店だよ」
「店名は?」
「そういえば…知らない」
「はぁ?」
よく考えたら私、あのバーの名前すら知らないのに菫にオススメしちゃってた。
ネットで検索しようにも店名が分からない時点でアウトだし…
頼れるのは曖昧すぎる記憶と周りの景色の二つのみ、ってことだよね。
大丈夫なのかと不安になりつつも、歩みを進めること数分。
なんとなーく見覚えのある道に出たような気がして、確認するようにキョロキョロ辺りを見回してみる。
「あった、あそこだ…!」
「あれバーなの?ほんと分かりにくいわね」
辿り着くまでにかなりの時間を要してしまった恭弥さんのお店の周りには外灯一つなくてやっぱり目立たない。
お店の前に立つ木製ブラックボードの看板には、前と同じく“DINING BAR”と手書きで書いてあって。
スマホのライトで照らすようにして、よくよく見てみればその下に“絆”と書いてあることに気付く。
絆…それが、このバーの名前だったんだ。
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