16.三人目のパートナー

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…… 石原さんは両親と同居しており、 その隣家が火事になったそうだ。 「ええっ、貰い火?」 「うん、そうらしい」 「石原さんの家も燃えちゃったの?」 「ああ、ほぼ全焼だって」 数十年前までは所謂ニュータウンと 呼ばれていた建売住宅の集合地。 隣家とかなり密接している為、 その周辺にもアッという間に 燃え広がったそうだ。 「そ、そっか…」 「土地は彼女の父親名義だから、 早急に建て直すことにしたそうだけど、 それまでの仮住まいがさ。 そんな急には見つからないだろ?」 「そりゃそうだよね」 「で、取り敢えずマンションを借りる迄、 仮住まいの更に仮住まいを探してて…」 「な、なるほど…」 「ご両親の方は近所の人の厚意に甘えて 暫くはそこで居候するそうなんだ。 でも、さすがに『娘も一緒に』とは 言い出し難いらしくてさ」 >ダメですか?やっぱりダメですよね? >ああ、これでもう全滅だわッ! 電話の向こうが妙に騒がしい。 どうやら光正は今、 石原さんと共に営業の外回りをしていて、 その最中に悲報を受けてしまったようだ。
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