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日頃はあれほど清楚に見える石原さんが、
こんな賑やかだということが意外過ぎて
思わず固まってしまう私。
「あ、こら、唯…ダメだよ。
お母さん、いま電話中なの」
電話中の私の気を惹きたかったのか、
それともテレビの音を消されたのが
気に入らなかったのか、
唯が私に抱き着いてきて。
それを森嶋くんが離そうと奮闘している。
…じゃあいっそ、
光正の処に泊めてあげればいいのに。
そんな意地悪を言いそうになり、
慌てて言葉を呑み込む。
「泊まるとすれば、今晩からだよね?」
「うん、そう…なるかな」
普段から私と唯に
色々と面倒を掛けられているクセに、
その声は思いっきり低姿勢で。
そんな光正の頼み事だからこそ、
余計に聞いてあげたいと思ったのだ。
「いいよ、つれて来ても。
どうせ数日だけでしょ?」
「いいのか?!ごめん、本当に助かる」
「困った時はお互い様だから。
石原さんには気を遣うなと伝えておいて」
「ああ、分かった」
口では偉そうなことを言っておきながら、
いざ電話を切ると大変なことになったと
眉を顰めてしまう。
光正の彼女になるかもしれない人と
これから一緒に暮らすのだ。
「おかーさん、大丈夫?」
「う、うん。…ねえ、唯。
今からミツくんのお友達が来るの。
それで暫く一緒に暮らすけど、
仲良くしてあげてくれるかな?」
私の言葉に、
唯よりも先に森崎くんが反応する。
「は?!何ですか、ソレ??」
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