辻占(つじうら)

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全部夢繋がり。 田中清とお稲荷さん。 辻占とキツネ煎餅。 南部鉄器の型。 たしか、清くんとの夢でも鉄器で焼いてた。 京都に卸していた備長炭・・・。 俺は、ひとりで考えるのを諦め、道士様たちに話した。 「田中清くんて何者だろうね。」 「ここに死霊の類の気配はない。」 「風水じゃわかんない。」 「相棒に頼ってみるけどね?俺だったら。ここまでお膳立てしてくれてるんだし。」 「そうですね。頼んでみます。」 電話をかける。 「横浜の道士、ありがとう。八卦鏡。」 「いえいえー。なっ?!」 「電話中だ静かにしないか!」 「道士様、覗いて。早く早く。」 映し出されたもの 電話を掛ける 「これはっ!天蓬元帥!」 中村を見つめる道士2人。 八卦鏡と中村を交互に見る。 「ん?行き成り霊気?」 「なんか寒くなってきた。」 槙田の言葉を無視して八卦鏡を中村の上を照らすと・・・。 「「斉天大聖!!」」 電話が終わるのを待つ道士達。 通話が終わる。 「中村星斗。」 「はい。」 俺は振り向くと動けなくなった。 「ど、どうしました?」 嫌な汗をかく。 まずい。どうにかしなくてはと・・・なぜか逃げたくなった。 「星斗くん、ごめんね。」 額に針を刺される。 「これはこれは道士たち。私に何か用かねぇ?」 え?俺、今、自動的にしゃべった?! しかも俺の声じゃない。 「答えて頂きたい。此度の一件、貴方様ですね?」 「違いますよ。たまたま。まぁ、仕組まれたのかもしれませんが。」 「田中清くん?」 「違いますねぇ。修行が足りませんねぇ。」 「貴方様のことは分かっております。天蓬元帥。」 「あははー。ばれましたか。ただ、私は普通に天界に飽きて転生しただけですから。」 「京田昭三。」 「私じゃないですね。この子の記憶。でも、随分と気に入られたようですね。守護するほどに。」 「田中清くんが斉天大聖とでも?」 「大方、そうでしょうね。」 「そっ。そんな。」 「さて、私は戻りますよ?」 俺は針の先を持つと額に埋め込み、口から出した。 「お返しします。また、然るべき時まで。」
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