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商売繁盛!大繁盛!
1人じゃ回せない。
「美味しい~。あ、小吉だって。」
「今日はおとなしくしてるんだね。」
「ありがとうお兄さん。」
「また明日来てね~。おみくじ入り卵煎餅、辻占は要らんかね~。美味しいよ~。おいなりさんの形をしたキツネ卵煎餅もあるよ~。」
「今日の運勢如何に!お兄さん、一個頂戴。」
「大吉だといいね~。100円です。」
カウンターでやりとりをする傍ら、あっちではパチパチ炭が鳴ってキツネ煎餅の焼き加減が気になる。辻占のオーブンはフル回転。
専門学生に狙いを定めて朝6時から夜の21時まで開店する。
「おじちゃん!おいなりさん、頂戴!」
「今日も元気だね~僕。はい、100円。」
子どももくれば
「おいなりさん、3枚。」
お婆さんも来る。
辻占は8個で750円だがキツネ煎餅は1枚売りしかしていない。
パック詰めする余裕がない。
目まぐるしい日々が続いた。
夢を見た。
お煎餅、辻占を焼いている。
来た!清くんにお礼を言わないと!
香盤の札を赤文字に変わる。
縁側に出る。
清くんと腰をそろえる。
「用意周到に運べばよし。良かったな大繁盛。」
「全部、清くんがやったことじゃないか。ありがとう。恩に切るよ」
「へへ。」
自由がきく!
「清くん、バンダナ取っていい?」
「嫌だ。」
「なんで嫌なの?」
「出来物できてるんだよ。」
「ちょっとくらい良いじゃん!」
「猪八戒、戯れが過ぎるぞ。」
声が俺じゃなくなる。
「やぁ、悟空。」
「久しいな。まさか昭三の魂に着くとは。」
「これもご縁ですね~。」
「引っ込んでろ。」
「はいは~い。またね。」
終わる。
「俺って天竺、目指さなきゃだめ?」
「何言ってんのお前。」
「猪八戒と孫悟空でしょ?」
「昔話だ。あ、明日、閉店間際に口のきけない奴が来る。お金持ってない。お菓子、与えるなよ?分かったか?」
「そうなの?うん。分かった。」
「じゃーなー。いってらっしゃーい。
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