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玄関に背中をつけて手を大の字に広げて止める。
涙が溢れる
「さとしくんがぁ~さとしくんがぁ~。」
え?
「八戒?」
「感情が・・・さとしくんがぁ~。」
大泣きする俺。
「念波を受信しているのか・・・。」
「さとしくんがぁ~。しんじゃうよ~。おせんべぇ。」
「「何?!」」
「八戒、良く聞け、霊は消さない。対話をさせてほしい。」
「さとしくんがぁ~。」
護符を額につけられる。
俺、キョンシーになった覚えはない。あれ?
「お煎餅とってきます!」
「護符、邪魔だろうけど外さないでね?」
煎餅、あるだけもってドアを開ける。
笑顔になる少年。手を差し伸べてくる。
「まった。」
横浜の道士が少年の頭に手を置く。
「さとしくんのところまで案内してくれる?」
頷く少年。
4人で駆け出した。
二駅走ってしまった。
閑静な住宅街にその一軒はあった。
「ここなんだな?」
頷いて家のドアを開く。
「こんばんは。どなたかいらっしゃいませんか?」
反応はない
少年に急かされる俺ら。
「もしもーし!」
少年は俺から煎餅を一枚奪うと居間に行った。
「追いかけよう!」
小学一年生だろうか。
そこには少年が倒れ、一生懸命に煎餅をかみ砕き口移しする少年の姿があった。
「大丈夫かっ!」
「危ない八戒っ!」
「うわぁ!」
腕に蛇が!
「司馬遷・・・&()’%$’(()’&$!」
シューっと蛇は消えていった。
「かはぅ」
「さとしくん!」
「ん・・・。」
「生きてる!病院!」
「救急車を呼ぼう。道に出て倒れた所を発見したと通報するんだ!でなきゃ怪しまれる!」
「お前、えらかったな!」
物の怪の少年に手をやる
「チャ、チャロ。チャロ?」
物の怪は犬の霊となった。
甲斐犬。
「お前、あの時の犬だったのか。」
俺がそう言うとスッと姿が消えた。
パサッ
「本?」
「あー、なんで司馬遷なんかが出てきたのか分かった。この子、仙人になろうとしたんだ。」
「どういうこと?」
「占いをもって本の位置を探す、そして読む。ひとつだけ文字が虫食いで穴が開いてるんだよ。それを7つ集めると仙界から迎えがくるんだよ。でもね、見つけると必ず悪霊、精霊が出てそれに勝たないといけない。」
「物騒な本だなぁ。たまたま読んだだけでしょ。可哀想に。」
「目的をもたなければ霊は出ない。神仙になるってわけか。」
救急車のサイレンが近づく。
「行こう。その本もってて。」
「はい。」
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