清くん

5/12

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/216ページ
玄関に背中をつけて手を大の字に広げて止める。 涙が溢れる 「さとしくんがぁ~さとしくんがぁ~。」 え? 「八戒?」 「感情が・・・さとしくんがぁ~。」 大泣きする俺。 「念波を受信しているのか・・・。」 「さとしくんがぁ~。しんじゃうよ~。おせんべぇ。」 「「何?!」」 「八戒、良く聞け、霊は消さない。対話をさせてほしい。」 「さとしくんがぁ~。」 護符を額につけられる。 俺、キョンシーになった覚えはない。あれ? 「お煎餅とってきます!」 「護符、邪魔だろうけど外さないでね?」 煎餅、あるだけもってドアを開ける。 笑顔になる少年。手を差し伸べてくる。 「まった。」 横浜の道士が少年の頭に手を置く。 「さとしくんのところまで案内してくれる?」 頷く少年。 4人で駆け出した。 二駅走ってしまった。 閑静な住宅街にその一軒はあった。 「ここなんだな?」 頷いて家のドアを開く。 「こんばんは。どなたかいらっしゃいませんか?」 反応はない 少年に急かされる俺ら。 「もしもーし!」 少年は俺から煎餅を一枚奪うと居間に行った。 「追いかけよう!」 小学一年生だろうか。 そこには少年が倒れ、一生懸命に煎餅をかみ砕き口移しする少年の姿があった。 「大丈夫かっ!」 「危ない八戒っ!」 「うわぁ!」 腕に蛇が! 「司馬遷・・・&()’%$’(()’&$!」 シューっと蛇は消えていった。 「かはぅ」 「さとしくん!」 「ん・・・。」 「生きてる!病院!」 「救急車を呼ぼう。道に出て倒れた所を発見したと通報するんだ!でなきゃ怪しまれる!」 「お前、えらかったな!」 物の怪の少年に手をやる 「チャ、チャロ。チャロ?」 物の怪は犬の霊となった。 甲斐犬。 「お前、あの時の犬だったのか。」 俺がそう言うとスッと姿が消えた。 パサッ 「本?」 「あー、なんで司馬遷なんかが出てきたのか分かった。この子、仙人になろうとしたんだ。」 「どういうこと?」 「占いをもって本の位置を探す、そして読む。ひとつだけ文字が虫食いで穴が開いてるんだよ。それを7つ集めると仙界から迎えがくるんだよ。でもね、見つけると必ず悪霊、精霊が出てそれに勝たないといけない。」 「物騒な本だなぁ。たまたま読んだだけでしょ。可哀想に。」 「目的をもたなければ霊は出ない。神仙になるってわけか。」 救急車のサイレンが近づく。 「行こう。その本もってて。」 「はい。」
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加