清くん

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成仏を願い、そしていなりや。 「わぁ、凄いここ。聖域だ。安心して暮らせる。」 「さとしくん?」 「色んな者に守られてて邪なものは入れないんだ。見たくないもの見なくて済む。」 「そっか。別に見たら見たで、おじさん興味津々だから言ってね?」 「おじさんじゃないだろ?八戒。」 「ま、いっか。」 「何それ。受け入れちゃうんだ?」 「こっちも悟浄って呼ばせてもらうから良いんだ。」 「あれ?神棚の鏡から誰か覗いてる。」 「え?どれ?」 鏡を覗くとそこにはまさかの清くん 『げっ。やばっ。』 「出てきなさーーい!!」 あんまり大声を出すタイプではなかったんだけど出してしまった。 「いなりせんべい、一枚」 気づくとテーブルに清くんが!! 「悟空じゃねぇか」 「俺、また自動的に口が。」 「大丈夫だよ、悟浄。これからも良くあることだと思う。」 「だから与えるなと言っただろう。天命を迎えれば己の意思で天界に行けたかもしれない。」 「それはないな。それに7歳で天命とか可哀そうだろ?」 「いたずらに寿命を延ばすのもどうかと思うぞ?」 お茶を淹れて運ぶ俺。 「昭三、なかなかいい味してるぞ。」 「ありがとう清くん。ところでさ、清くん。」 「何だ?」 「今、玄奘三蔵ってどこにいるの?」 「あ~、自覚はないみたいだけど神戸の道士だ。」 「久しぶりに揃ったな。」 「俺は鏡の中に戻る。」 「えー折角、来てくれたのに?一緒に生活しようよ、清くん。」 「えー。行き成り言われてもよう。」 「鏡の中で独り暮らしは寂しいよ。お願いお願い!」 「そんなにお願いされても・・・今、俺、天界に所属してるんだよ。」 「降りてくればいいじゃん。」 「きっと楽しいよ?それに、俺、大人だし、悟浄は小学生、中学生が居た方がいいって。」 「んー。天帝のところに行ってくる。」 「よろしくお願いします!」 煎餅を手早く食べると、もぐもぐしながら鏡の中へ戻っていった。 「ねぇねぇ。」 「何かな?」 「お煎餅ってどうやって焼くの?」 「火傷するから内緒。もうちょっと成長してからにしてくれ、悟浄。」 「中身、大人だよ?」 「子どもは怪我しやすいんだよ、身体がね。」 「昭三!」 右手と顔を鏡から行き成り出した清くんに一瞬びびった。 「あともうちょっと!賄賂に煎餅!」 「うん!わかった。」 強烈な生活なのにどこか馴染んでいる俺。 清くんに同居を求めてもいる。
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