金蝉子

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「さぁ、転校手続きに行くよ?」 「う、うん。」 「どうした悟浄?」 「学校行ったことが無いから。」 「えぇ?!そうなの?あ、清くんは中学校2年生ね。」 「学び舎かぁ。一度、行ってみたかったんだよな。」 それから一ヶ月後。 「辻占は要らんかね~。おみくじ入りたまご煎餅だよ~。おいなり煎餅もあるよ~。ひとつ100円でーす。」 「お兄さん、今日は大吉ください!」 「さて、どうでるか。」 「また小吉・・・このおみくじ、大吉入ってる?」 「入ってるよ?4日連続小吉だね。」 「あした、またチャレンジするわ。」 「お待ちしてます。」 今日も大繁盛! 14時。専門学生が授業中のため、客はまばらだ。 「さてと、今日のおやつは何にしますかねぇ。」 キャベツを千切りにする。粉、卵、天かす、シーフードミックス。お好み焼きだ。 焼いていると 「ただいまー。あ、美味そうな匂い!」 「悟浄、お帰り。ちょっと待っててね~。」 「最近、学校どう?」 「うまくやってるよ。友達もできた。あ、おやつ食べ終わったらまた学校行くから。」 「え?なんで?」 「友達とサッカーの約束してるんだ。」 「分かった。晩御飯までには帰ってくるんだよ?」 「うん!」 「はい、お待ちどう様。」 カバンを下してテーブルに座る悟浄。 「なにこれ?」 「ちっちゃいお好み焼き。火傷しないでね?」 ふうふうする悟浄。小判型だから食べやすい。 「いっただっきま~す。ん!ばかうま。」 「ありがとう。にしても、2人ともサッカー好きだね。」 清くんもサッカー部だ。 授業でドリブルで抜けるところを脚力でジャンプし、ボールと一緒に飛び越えたとか。 さすが、孫悟空。 「超楽しいよ?」 「そっか、そっか。」 「さとしく~ん!サッカー行くよ!」 お。友達か。カウンターに二人。サッカーボールを持っている。 「いま、おやつ食べてる!」 「え~!いいな!」 「食べていく?お好み焼きだよ?」 「いいんですか?」 「どうぞ。そこから入って。」 小学生が3人。冷えた麦茶を出す。 「悟浄、いつもおやつ食べてるの?」 「おう。」 !!! 「悟浄ってどうしたの?」 「ああ、こっちの子、さとし。さとしが二人だと面倒だから悟浄って呼んでもらってるんだ。」 「そ、そうか。」
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