金蝉子

8/10
前へ
/216ページ
次へ
ん~っと唸る俺と中谷さん。 「お家分かる?」 「い・・・いくの?お、怒られるっ。」 「大丈夫、おねぇさんも一緒だから。ついでに警察もね。」 遠い目をする中谷さん。 「識字力がないとなると、施設だね。」 「そ、そんな!俺が教えますよ!」 「ダメよ。専門的な知識が必要な分野だから。」 「専門知識・・・あっ!みんなが火傷しないように見ててください!」 障子をパンっと開けファイルを探す。 10分後 「あった。あった。」 「なぁに?それ?」 「俺の人生の塊っす。どこにあるかなぁ~。」 「これ、全部、資格者証?!」 「そ。資格マニアなんですよ。」 「100以上ありそう。」 「ありますよ?あった!はい。」 「うっそ。」 「ほんと。」 「コピーコピーっ!」 「はいはーいっ!」 保育士 国家資格だ 「どおりで育児、上手いはずだわ。」 「送り先が児童福祉施設なら太刀打ちできます。」 「そうね~。でも、上がなんていうか・・・。」 「俺は暮らしたいぞっ!」 「俺もっ!」 ナイスさとしくん!清くん! 「そっか~。すぐに意気投合したのね~悪魔くん。悪魔くん、お腹いっぱい?」 「はい」 「ちょっとおねぇさんと一緒に来てくれる?」 不安がる悪魔くん。俺を見る。 「痛い事や嫌な事はされないから大丈夫だよ。いってらっしゃい。またおいで。」 玄関のドアが閉まる 「紅孩児・・・。」 「紅孩児って仇じゃなかった?」 「西遊記では仇だけど甥は甥だ。この人間界でも・・・。あいつ、いつだって独りで・・・闘ってて。一緒にコンビ組めたらって・・・。」 一週間後 『零時になりました。お昼のニュースをお伝えします。東京都中野区で児童虐待の容疑で』 こいつらか! 『父親は容疑を否認しており、母親はこんな事になるなら殺しておけばよかったなどと話・・・』 あ、あっぶねぇ。 さらに一週間後 「いらっしゃいませ~。」 「こんにちは!」 「中谷さん!」 「準備出来たわよ。国家資格って偉大ね。」 「え?じゃぁ・・・。」 「手続き、待ってるわ。うふっ。」
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加