番外編 紅孩児の生活

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出て行ってやる! 俺は八戒と寝てる。 ゆっくりと八戒の腕をどかし、布団から出る。 レジを漁る チャリンっチャリンっガツガツガツっ なんで100円玉しかないんだ。せめてお釣りように千円札、用意しておけ。 万券が来たらどうするんだ! あ・・・八戒のことだからお釣り無いんですって言って渡すか。 チャリンチャリンチャリン 電気がつく 「何、してるのかな?言ってごらん?」 怖い。 八戒が酷く怒っている。 八戒は静かに怒る。それは昔と変わってない。 「何してるのかなぁ?」 その視線、やめてくれ。 俺は冷や汗をかいた。 俺は100円玉の袋を持ちレジの横にいる。 深夜2時 ま・・・まずい。 俺は玄関に向かってダッシュした。 八戒によってドアが固定される。 「こんな夜遅くにお出かけですか?」 後ずさる俺。 「さぁ、良い子だからこっちへおいで。」 怖い。怖い。怖すぎる。 やばい壁だ。 頭の両側に八戒の手が伸びる! 俺は両目を強く閉じて懇願した。 「わっ!ごめんなさい!ごめんなさい!何もしません!食べません!うるさくしません!だから叩かないで!」 「光・・・体力ないんだからカツアゲにあって無一文になるのは早いよ?」 悪魔くん時代の恐怖が・・・俺の中にまだあることが、いま、自分でも理解した。 八戒も理解したようだ。 「俺は、子どもに手を出すような事はしない。対話を求める。それ、大人しく元に戻しておいで。」 怒られるのが嫌で一枚一枚、丁寧にレジに戻す。 八戒が早くしろ!と怒る事は一度もなかった。急かす事もしなかった。 「寝るよ。」 怒られることもなかった。
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