辻占(つじうら)

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母を見送った翌日 成田山新勝寺にお邪魔した。 御朱印をいただく。 油揚げを奉納する 陶器で出来たコンコン様があった。 俺は買わなきゃいけないという良く分からない衝動にかられ コンコン様と目があった気がする。 注文すると奥から新しいのが出てきたが展示品をお願いした。 打たれる火打石。 五穀豊穣、商売繁盛。 2体で対になっていて、カウンターに置ける割と大きいものを買ってきた。 シンボルになればいい。 家につくと玄関でそわそわしている人がいる。 「うちに用ですか?」 「京田昭三さんですか?」 「え?なぜその名を・・・。」 表札は出していないし、夢のことは誰にも言ったことが無い。 戸惑っていると 「私、近くの稲荷神社の者です。昨晩、夢に立たれて、辻占というおみくじ入りの煎餅を焼くものがいると。」 「は、はぁ。」 「田中清の使いだと言えば分かると。」 「分かります。」 「神棚を付けさせていただいてもよろしいですか?」 「え?ちなみにおいくら?」 「この度の件、神のお告げで来ております。信じられないと思いますがお願いされた身、どうか叶えたいと・・・。」 「わ、わかりました。お願いします。」 家に招き入れる。 「殺風景なところでしょ?」 「四角い白い場所に和室が2つ。お告げ通り・・・。ここに祀ってよろしいですか?」 「どうぞ。」 天井に祀られる神棚。結構な大きさだ。 取り付けが終わると作法をならい、一緒に榊、お神酒、米を供える。 ご縁だし、行っておいた方がいいと思い、稲荷神社まで連れて行ってもらう。 参拝する 「よろしくお願いします!」 「信仰者が増えてお稲荷様もお喜びでしょう。しかし不思議ですね。」 「本当に不思議ですね。」 俺はこの事象を考えていた。
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