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「八戒、連絡帳とお手紙。」
「お手紙?」
その内容は職業体験のお願い。
2日間行うらしい。ん?
携帯を取ってきて電話をする。
「あ、本田さん?なんかねー、うちのさとしが通ってる小学校で職業体験させてくれる所を探してるみたいなんですよ。うちはOKですけど、他の皆さんどうかなと思って。商店街で済めば先生も楽だろうし、生徒も色んな体験できるだろうし楽しそうだし。良かったら本田さんの携帯番号、連絡帳に書いてもいい?後藤さんとか桑原さんとか斎藤さんとか。良いと思うんですよ。分かりました。先生が挨拶に行くかもしれません。よろしくお願いします。」
先生からのSOSメッセージが書かれていた。
「おい、八戒。」
「なんだい?悟空。」
「小学1年に鉄器を使わせるのか?」
「流石に危ないと思う。オーブンで辻占かな。」
「だよな。」
「えー。お煎餅、焼いてみたいぞ?」
「そうだね~。でも、鉄器は火傷じゃすまないからね。重たいし。」
「学校休んでいいなら、見張るけど?な、紅孩児。」
「煎餅の焼き方など知らん。」
そう、お煎餅は悟空と俺だから分かる話。
「すみませーん。」
「いらっしゃいませ!」
カウンターに出る。
「あの、ここのおいなりさん、材料、何入れてます?」
「砂糖と小麦粉とたまごですけど?」
何か考え始めた女性。俺と変わらないくらいだから30代か?
「どうしましたか?何かお困りでも?」
「貧血が酷くて。」
「あ、是非、うちのたまご煎餅どうぞ。」
「何か秘密があるんですか?」
「南部鉄器で焼いてるんですよ。鉄分が染み出るんです。かなりひどい様なら、鉄玉っていう鉄で出来た球が売ってるはずです。料理に、お味噌汁に、やかんでお湯を沸かす時に入れると良いですよ。天然ですから。」
「なるほど!おばぁちゃんの貧血が治ったからなんでかと。ここのお煎餅、毎日食べてるんです。で、不思議に思って。」
「ありがとうございます。もしかして木村さん?」
「はい。」
「寝たきりにならないように毎日歩くんだって言って来てますよ。1枚買いに。」
「そうなんですね。おばあちゃんたら。」
「はい、鉄分。今度は買ってね。」
「あ、ありがとうございます。」
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