辻占

夏休み

道士様を神戸に送り届けて１か月。
道士様は廟の結界内に籠ってしまった。

さて、世間では夏休み。
体験学習の効果もあり、小学生に大繁盛。

「八戒。」
「どうした？悟浄。」
「この間、登校日あっただろ？」
「あ～８月１５日ね。」
「卒業生が来て技を披露してくれたんだ。インラインスラロームっての。世界大会に出たんだって。超かっこよかった。やりたい。」

インラインスラローム？どっかで聞いたな。思い出せない。

「やればいいんじゃないかなぁ？好きな事しな？」
「買ってくれるのか？」

お？初めてのおねだり。ちょっと嬉しい。
ここの子どもは本当に大人びている。

「何が必要なのかな？」
「ローラーブレード！」
「あーー！！はいはい、やったやった。」
「八戒もやったのか？」
「悟浄と同じぐらいのころにね。やるからには極めろよ？」
なんたって、まだ小１。
「ローラーブレードってどこで手に入るんだ？」
「神田が手っ取り早そう。」
「神田？」
神田。冬はスキー、スノボ用品で溢れるが夏はローラースケート、ローラーブレードで溢れかえる。

ネットで検索すると、丁度、親子レッスン開催のご案内が出た。
夏休みだから毎日やってる。
現在、悟空は書道部。天才と言われている。
紅孩児はバスケ部。身長が１６０を超えた。

週末、二人を巻き込み神田へ。
ネットで取った予約票をスタンプカードと交換する。
券がついてきた。
『本日限定　インラインスケート　３割引き』
商売上手め。
各々、プロテクターをつけ、ローラーブレードをレンタルする。

すーっと滑っていく紅孩児と悟空。
そーっと滑る悟浄。
「わっわっわっわ！」
バランスが取れず後ろに倒れる。ヘルメットがなかったら確実に後頭部やられてた。
「お父さん、無理しちゃだめですよ。立ち方の基礎からやるので安心してください。」
昔はガンガン滑ってたのに・・・歳って怖い。
レッスンが始まり、なれてきてちょっとしたスラロームをやる。
「やべぇ、楽しい。」
「気持ちいな。」
「おー。出来る出来る。」
３人とも余裕。
あ、段々、コツ掴めてきたかも。こうやって体重を左にかけて、ジャンプ！しながら右足を延ばして右に移動させ回転する。
「おお！八戒すげー！」
やばい、回転しすぎた。きもちわりぃ。
「さっきまで、こけてたくせに。」
「八戒にも食い物以外、特技があったのだな。」
地味に酷い紅孩児。