辻占(つじうら)

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「ん~そしたらね、5日後に粉を集めて、6日後に北東にある玉子屋さんの卵を探してごらん?開店は8日後だね。7日目は焼いたらこの商店街の人、全員に無料で配る事。分かった?」 「へ?」 「順を追って話しなさい。擇日(たくじつ)と言ってね。吉日を選ぶんだ。横浜関帝廟の言うとおりだ。」 「ちょっと、メモさせてください!」 じっくり聞きながらメモを取る。 「粉屋さんあるかなぁ。」 「どうかしたの?」 「ここ、小さいでしょ?だから売ってくれないんですよ。」 「ほう。ふむ。固定電話を借りても?」 「どうぞ。」 掛ける 「なんで固定電話?」 「土地の精霊の力を借りてるからだよ。携帯じゃダメなんだ。」 「槙田くんか。神戸の道士だ。ファンはいるかい?香港か。悪いけど槙田くん動けるかい?東京都中野区、東中野の銀座商店街だ。わかった。事情は、焼き菓子の店が粉を売って貰えなくて困っている。店の選定を頼みたい。わかった。」 こちらを向くと 「1時間半くらいかかりそうだ。匿ってくれるかい?」 「どうぞ、テーブルへ。」 俺らは4人掛けテーブルの席についた。 「緑茶と紅茶、コーヒー。どうします?」 「緑茶が良いな~。」 「こら。」 「神戸の道士様もそれでいいですか?」 「迷惑をかけるな。」 「さてと・・・横浜の道士、八卦鏡はもっているか?」 「うん。あるけど?」 「何も感じないのかお前は。」 「え?って孟居?!」 「もうきょ?」 「昭三さん、もしかしてうつ病?」 「な・・・なんで?」 「孟居は人を虚しくさせ、寝た切りにし、衰弱死させるんだよ。憑いてる。」 「え?!」 「横浜の道士、鏡。」 「はーい。」 「てか、なんで名前で呼び合わないんですか?」 「宗教上の問題だ。名が分かれば縛られる。霊にも良からぬ人間にもだ。」 「道士様って大変なんですね。」 「どれ、見せてもらおうか。横になるところは?」 テーブルから離れて障子を開く。 「作業場の隣が寝どこですよ。」 靴を脱いで上がる。 「おじゃましま~す。」 横浜の道士様が早速あがってきた。 「邪魔するよ。さぁ、横になって。」 「うげぇ。すげぇ癒着。」 「こら、そういう事を言うんじゃない。」 「これ、妖怪ですか?」 「え?見えるの?」 「赤い腰蓑つけてません?小鬼みたいな。」 「うわー。見える人初めて。」 「桃と八角、薄荷が必要だな。」 「俺、買ってくる。」 「頼んだよ。」
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