5人が本棚に入れています
本棚に追加
/216ページ
「ん~そしたらね、5日後に粉を集めて、6日後に北東にある玉子屋さんの卵を探してごらん?開店は8日後だね。7日目は焼いたらこの商店街の人、全員に無料で配る事。分かった?」
「へ?」
「順を追って話しなさい。擇日(たくじつ)と言ってね。吉日を選ぶんだ。横浜関帝廟の言うとおりだ。」
「ちょっと、メモさせてください!」
じっくり聞きながらメモを取る。
「粉屋さんあるかなぁ。」
「どうかしたの?」
「ここ、小さいでしょ?だから売ってくれないんですよ。」
「ほう。ふむ。固定電話を借りても?」
「どうぞ。」
掛ける
「なんで固定電話?」
「土地の精霊の力を借りてるからだよ。携帯じゃダメなんだ。」
「槙田くんか。神戸の道士だ。ファンはいるかい?香港か。悪いけど槙田くん動けるかい?東京都中野区、東中野の銀座商店街だ。わかった。事情は、焼き菓子の店が粉を売って貰えなくて困っている。店の選定を頼みたい。わかった。」
こちらを向くと
「1時間半くらいかかりそうだ。匿ってくれるかい?」
「どうぞ、テーブルへ。」
俺らは4人掛けテーブルの席についた。
「緑茶と紅茶、コーヒー。どうします?」
「緑茶が良いな~。」
「こら。」
「神戸の道士様もそれでいいですか?」
「迷惑をかけるな。」
「さてと・・・横浜の道士、八卦鏡はもっているか?」
「うん。あるけど?」
「何も感じないのかお前は。」
「え?って孟居?!」
「もうきょ?」
「昭三さん、もしかしてうつ病?」
「な・・・なんで?」
「孟居は人を虚しくさせ、寝た切りにし、衰弱死させるんだよ。憑いてる。」
「え?!」
「横浜の道士、鏡。」
「はーい。」
「てか、なんで名前で呼び合わないんですか?」
「宗教上の問題だ。名が分かれば縛られる。霊にも良からぬ人間にもだ。」
「道士様って大変なんですね。」
「どれ、見せてもらおうか。横になるところは?」
テーブルから離れて障子を開く。
「作業場の隣が寝どこですよ。」
靴を脱いで上がる。
「おじゃましま~す。」
横浜の道士様が早速あがってきた。
「邪魔するよ。さぁ、横になって。」
「うげぇ。すげぇ癒着。」
「こら、そういう事を言うんじゃない。」
「これ、妖怪ですか?」
「え?見えるの?」
「赤い腰蓑つけてません?小鬼みたいな。」
「うわー。見える人初めて。」
「桃と八角、薄荷が必要だな。」
「俺、買ってくる。」
「頼んだよ。」
最初のコメントを投稿しよう!