第一章 負けず嫌いの女子高生

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「そうなんだ。ゆいちも」  え、“も”って何?  まさか……。  私が目をむいて顔を見ると、ミラはバツが悪そうに続けた。 「私も軽音部の保坂くんと付き合うことになってさ……。 二人に言わなきゃと思ってたんだけど、ゆいちに先越されちゃった」 「えーっ!! 保坂って、あのチャラ……いや、すごく元気な感じの?」  今度はゆいちが大声を上げる番だった。  保坂といえば、金髪にピアスという見た目のまま、極度の目立ちたがりで、学年集会などで必ず野次を飛ばしているので、同級生なら知らない者はいない。  しかも相当な遊び人だとの噂もある。  ゆいちのやや否定的な反応に、ミラは少しムッとしたような顔になり、 「うん。でも、見た目ほどチャラくないよ。私のことは真剣だって言ってくれてるし」と反論した。 「まじか……」  ミラまで彼氏ができていたなんて、強烈なカウンターパンチを二連発でくらった気分だ。  一発目は足をふらつかせながらもなんとかこらえたが、二発目で完全にマットに沈められてしまった。
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