60人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうなんだ。ゆいちも」
え、“も”って何?
まさか……。
私が目をむいて顔を見ると、ミラはバツが悪そうに続けた。
「私も軽音部の保坂くんと付き合うことになってさ……。
二人に言わなきゃと思ってたんだけど、ゆいちに先越されちゃった」
「えーっ!! 保坂って、あのチャラ……いや、すごく元気な感じの?」
今度はゆいちが大声を上げる番だった。
保坂といえば、金髪にピアスという見た目のまま、極度の目立ちたがりで、学年集会などで必ず野次を飛ばしているので、同級生なら知らない者はいない。
しかも相当な遊び人だとの噂もある。
ゆいちのやや否定的な反応に、ミラは少しムッとしたような顔になり、
「うん。でも、見た目ほどチャラくないよ。私のことは真剣だって言ってくれてるし」と反論した。
「まじか……」
ミラまで彼氏ができていたなんて、強烈なカウンターパンチを二連発でくらった気分だ。
一発目は足をふらつかせながらもなんとかこらえたが、二発目で完全にマットに沈められてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!