第一章 負けず嫌いの女子高生

14/15
前へ
/162ページ
次へ
「ちょっと、勝手にのぞかないでよ」 「おまえ、さっきから心の声ダダ洩れだぞ。独り言ならもっと小さい声で言えよ」  有村はそう言いながら、少し離れた自分の席に戻り、帰り支度を始めた。 「大丈夫。あいつらは修学旅行で敷島を一人になんかしないよ」 「そう……かな?」  有村にしては珍しく、優しい言葉をかけてくれたと思ったのだが、甘かった。 「だってこんな可哀想な子を放っておけるわけないだろ? でも、内心は彼氏と過ごしたいに決まってるけどな。二人とも敷島さえいなければ……と恨めしく思うんだろうなぁ。ま、あんまり人の幸せを邪魔しない方がいいぜ」 と嫌味たっぷりに言って、にんまりと笑ったのだ。
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加