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「ちょっと、勝手にのぞかないでよ」
「おまえ、さっきから心の声ダダ洩れだぞ。独り言ならもっと小さい声で言えよ」
有村はそう言いながら、少し離れた自分の席に戻り、帰り支度を始めた。
「大丈夫。あいつらは修学旅行で敷島を一人になんかしないよ」
「そう……かな?」
有村にしては珍しく、優しい言葉をかけてくれたと思ったのだが、甘かった。
「だってこんな可哀想な子を放っておけるわけないだろ? でも、内心は彼氏と過ごしたいに決まってるけどな。二人とも敷島さえいなければ……と恨めしく思うんだろうなぁ。ま、あんまり人の幸せを邪魔しない方がいいぜ」
と嫌味たっぷりに言って、にんまりと笑ったのだ。
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