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日野くんが何を言っているのかは、いまいち理解できなかったが、先に自分が気になっていることを聞くことにした。
「日野くん、美雨ちゃんとは話したの?」
「ああ、話したよ」
「それで?」
「別に、それだけだよ」
日野くんはあっけらかんと答えた。
そうか、誤解が解けても、二人の仲は元には戻らなかったんだ。
互いの想いは消えていなくても、あれから二人が別々に過ごした長い月日が、それを許さなかったのだろうか。
深く傷ついているだろうに、平気なふりをしている日野くんが痛々しくて、私は悲しくなった。
こんな時、以前だったら下らないギャグで笑わせて、日野くんを元気づけてあげられたのに、今の私にはそれもできない。
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