第九章 急展開!王子VS秀才

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 大体、有村にこんな風につっかかるなんて、日野くんらしくない。  有村は恩人だって言っていたじゃないか。  有村だって、日野くんのことはいい奴だって認めてて、二人は唯一無二の親友なのだ。  こんな馬鹿な女のために、二人の友情が壊れるなんて、あっていいはずがない。  そんなことを考えて、どう返事をするか悩んでいると、突然、有村が踵を返して走り出した。  あっという間に姿が見えなくなったかと思うと、バタンと屋上の扉が閉まる音が聞こえた。 「あ、逃げた」 「逃げたな」  日野くんは声を上げて笑いだし、釣られて私も笑ってしまった。
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