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「ごめん。ひよりちゃんを困らせるつもりはなかったんだけど、樹のやつ、いつまでもぐずぐずしているからさ」
「え、じゃあ、私と付き合いたいっていうのは嘘だったの?」
「うん、いろいろ失礼なことしちゃってごめんね」
さっきとは別人のように紳士的な態度で日野くんに謝られ、私は胸を撫で下ろした。そして、
「俺、美雨ともう一回やり直してみるよ」
そう言った日野くんは、とても晴れやかな顔をしていて、心底嬉しくなった。
「樹のこと、真面目に考えてやってよ。あいつ頭はいいのに、恋愛は不器用で、全然自信が持てないみたいなんだ」
日野くんは私の気持ちを知っているのかいないのか、真剣に有村のことを勧めてきた。
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