第九章 急展開!王子VS秀才

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 その後、私は有村の行方を追って、方々走り回った。  そしてようやく、中庭のベンチに座っているのを発見した。  うしろ姿を見ただけで、私の鼓動は早まる。 「有村」  横から声をかけると、有村がびくっとしたのが分かった。 「隣に座っていい?」  有村が頷いたので、私は近づきすぎないよう距離を測りながら腰を下ろした。 「わりぃ、俺、みっともないな」  逃げ出したことを恥じているのか、有村は後ろめたそうな顔をしている。 「そんなことないよ」  そう、そんなことどうでもいいのだ。  ようやく有村がこっちを見てくれた。  それだけで私は息をすることも忘れそうなほど嬉しいのだから。  しばらく二人とも黙って、熱くも寒くもない心地よい風に当たっていた。
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