第九章 急展開!王子VS秀才

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「敷島は俺のことなんか眼中になかったし、どこの誰だか分かんない奴と付き合うくらいなら、亮平の方がましだと思って、一度は諦めようとしたけど……」  有村は思いを吐露し続けた。 「敷島が他の男といるところを見ると、胸がざわついて、どうしても自分を抑えられなくなるんだ」  日野くんは有村のことをヘタレと言ったが、有村は全然ヘタレなんかじゃない。  だって、私の身に危険が及んだ時には、躊躇せず体を張って助けてくれたじゃないか。  それでも強引に私を自分の方を向かせようとしなかったのは、きっと私の気持ちを第一に考えてくれたからなのだろう。  そんな優しい有村の心の内に、私はもっと早く気付くべきだった。
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