第十章 恋を売る店

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「どうしてここに?」 「亮平に呼び出された」  おおよそ見当がついていたのか、有村は特に驚いた様子もなく、淡々と答えた。 「なんだ。みんなもう知ってたんだ。私たちのこと」  それに比べ、ミラたちの演技を全く見抜けなかった私は、笑うしかなかった。  せっかくなので、その店で有村とお揃いの小さなキーホルダーを買うことにした。 「お揃いなんて恥ずかしい」と言いそうな有村が、割と楽しそうに商品を選んでいるのを見ていたら、私たち本当に付き合っているんだな……と実感がわいてきた。 宿の門限まで、まだ少し時間があったので、有村がスマホで近隣の観光情報を調べてくれた。 「この近くに小さな神社があるみたい。行ってみる?」 「うん」  二人でいられれば何処だっていいのだ。  私たちは並んで歩き出した。
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