第一章 負けず嫌いの女子高生

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 今日は課外授業で一日中動き回り、三人とも腹ぺこだったので、帰りにカレー屋に立ち寄ることにした。 「あー、おなかすいた!」 「見て見て、メガ盛り激辛カレー完食したら、十食無料だって」 「へー、お腹いっぱい食べられて、その上無料なんてお得だね」 「ひよりならいけるんじゃない?」  壁に貼ってあるポスターを見て盛り上がっていると、常連客らしいおじさんが横から話に入ってきた。 「あー、お嬢ちゃんには無理、無理。この前、うちの若いのが何人か挑戦したけど、全滅だった。悪いことは言わないからやめておいたほうがいい」 「無理……ですって?」  頭の中でカチッとスイッチが入る音がした。 「ひより、落ち着いて!」  ミラとゆいちがなだめたが、もう遅かった。  おじさんは親切で言ってくれたのかもしれないが、幼い頃から負けず嫌いな私は、無理と言われると頭に血が上って冷静な判断力を失ってしまう性質なのだ。  次の瞬間には、「すいませーん! あれ、チャレンジします!!」と店員さんに向かって手を挙げていた。
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