第一章 負けず嫌いの女子高生

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 小遣いの少ない私にとって、賞品のカレー十杯無料券は願ってもない収穫だったが、その代償はまる一日たっても治らないこの胃もたれだ。 「うー、気持ち悪い」  休み時間に机に突っ伏していると、 「食べ過ぎで具合悪いとか、まじありえねぇ。アタマ悪すぎだろ?」  上から声がした。  冷ややかに見下ろしているのは、クラスメイトの有村(ありむら) (いつき)、  ことあるごとに嫌味を言ってくる私の天敵だ。  ひょろっとした身体に小さな顔、男のくせに陶器のようにきめ細やかな白い肌をしていて、切れ長の目には冷淡な性格が現れている。 「うるさいっ!!」  大声を出すと、また胃がキリっと痛んだ。
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