第一章 負けず嫌いの女子高生

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「はい、みんな席につけー。先週のテスト返すぞー」  小柄な数学の先生が、体型に合わない大声で授業の開始を告げた。 「今回の成績トップは……」  先生のもったいぶった言い方に、教室が静まり返る。  呼ばれろ!  呼ばれろ!  私は目を閉じて念じた。 「有村樹! また満点だ。よくやったな!」  いつも通りの結果に「なーんだ」という空気が流れ、ざわめきが戻ると、私はがっくりと肩を落とした。  立ち上がった有村は、こちらを見て不適な笑みを浮かべながら、ちろっと舌を出した。  く、悔しい……。
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