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二年になり、有村と同じクラスになってから、テストの度に張り合っているのだが、同率一位がいいところ、まだ一度も勝ったことはない。
「九十八点だって十分すごいよー!」
ミラが後ろの席から私の解答用紙を覗き込んで言った。
今年もミラと私は同じクラスになれたが、ゆいちは残念ながら隣のクラスだ。
「ひより、前から成績は悪くなかったけど、二年になって格段に上がったよね。それって有村くんのおかげなんじゃない?」
「は? なんで有村のおかげなのよ。私はテスト前、徹夜で必死に勉強してるの。有村なんて授業中は居眠りばかりしてて、教科書だって全部ロッカーに置きっぱなしなんだよ。それなのに負けるなんて……」
「きっと私たちとは頭の作りが違うんだよ。有村くん、全国模試で常に十番以内に入る秀才だもん」
「秀才だって努力しなきゃいつか痛い目にあうはずよ。おごれるものは久しからずってね。見てなさい、次のテストでは絶対抜いてやるんだから」
こちらを見ていない有村に、一方的に敵意を込めた視線を送る。
「ひよりは本当に負けず嫌いだねー」
ミラは呆れたように言った。
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