第1章

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「櫻井さん、月曜までにこの書類仕上げておいてくれる」 「はい、わかりました」 と答えたが、こっそりため息をついた。 今日は金曜日。定時はとっくに過ぎている。なのに、書類は山積み。 残務処理が終わってないから、残業確定だなっと私は思った。 私、櫻井沙耶(さくらいさや)の職場は、博多駅近くにオフィスビル。 小さなインテリア会社だが、社長の意向で「風通しのいいオフィス」というのがコンセプトでインテリアや観葉植物が飾られたオシャレなオフィスになっている。 「こんな素敵なオフィスで働けるなんて嬉しい」、と入社内定をもらったときは大喜びした。 創業してまもない会社だから、社員も社長も若く20~40代が中心。 若手が中心となって、重責を担っているのも会社の特徴のひとつだ。 意見も社長にいえば、すんなり通ることもあることも気に入っているポイントだ。 また社長のこだわりで、女性には長く働いて欲しいからと育休産休期間の手当・時短勤務などのかなり充実した制度が整えられている。女性にとってはありがたい職場だ。 そんな会社での私の役割は営業の補佐だ。 営業のスケジュール管理、発注の代行、見積書の作成、電話の顧客とのコミュニケーションをとったり、会議や接待のセッティングもしてる。 ときには、便利屋扱いされることだってある。 でも、「与えられた仕事以上に頑張る」を信条に入社以来頑張ってきた。 おかげで、社長からも信頼されていて「櫻井さんが担当なら安心できるよ」といってもらえるまで成長した。
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