第1章

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残務処理のヘルプしてくれている相原主任に断りを一言入れて、休憩室にいった。 そこにちょうど、総務にいる同期で親友の朝比奈蘭(あさひならん)がいた。 「沙耶、お疲れ様」 「蘭もお疲れ様。まだ残っていたの?」 「私は、もう帰るところなの」 「沙耶は、まだ残るの?」 「残務処理があるから残るよ、それに相原主任にヘルプにはいってもらっているの」 それを聞いて蘭は眉を潜めた。 「沙耶、大丈夫じゃないよ!、相原主任に何度もアプローチされているでしょ!?」 「大丈夫、隙はみせてないから平気だよ」 「そんな問題じゃない、断られたから燃えてアプローチしてくる男もいるんだからね」 「私は大丈夫、大丈夫」 「それが、心配なのよ。沙耶は仕事も頑張りすぎだし、恋愛も隙がないように見せかけているから気ががりなのよ」 「ありがとう、蘭、心配してくれて」親友からの心配は本当にありがたいことだ。 「アドバイスありがとう、感謝してる」いい親友をもって私は幸せものだと思った。 「じゃあ、私は帰るから、沙耶、気を付けてね」 「蘭もね。もう遅いし、外は暑いから気を付けて帰ってね」 「ホントに相原主任は、沙耶のことを狙っているから気をつけてね」 と念を押されて、蘭がオフィスを出るのを見送った。 蘭は前々から恋愛経験0・恋人がいない私のことをものすごく気にしている。 「沙耶はそれで、ホントにいいの?」と心配されていた。 「恋愛経験0でもいいって男性は探せばちゃんといるんだから、チャンスはあるからあきらめないで」とやさしく慰めてくれる。 私もそんな人に巡り合いたいと思っている。が、現実的には厳しいだろうなと思っている。こんな私でも、チャンスはやってくるのかな……。
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