第1章

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休憩室から戻る前に差し入れにと、相原主任に缶コーヒーを買って持っていった。 すると「櫻井さんは、やさしいね、ありがとう」と笑顔でいってくれた。 「いえ、相原主任には手伝ってもらっていますから、感謝してます」と私はいった。 しかし、またしてもしつこく 「ねえ、櫻井さん、ホントに俺と飲みに行かない?」と誘ってくる。 「行きませんよ。ほら、相原主任、ここの数字間違ってますよ!」 「あ、ホントだ」と笑っていいながら、素敵な笑顔をみせてくれた。 書類を仕上げながら、相原主任は熱っぽい視線を送って 「櫻井さんは、ホント頼りになる子だね」と私を見つめてくる。 内心イケメンの相原主任の視線にドキドキしながらも 「おだてても、なにもでませんからね」と私は言葉を返す。 「やっぱり強敵だな、櫻井さんは……いつか飲みに誘うから。ね、櫻井さん」と相原主任は宣言した。 相原主任のアプローチの攻防に疲れたけど、なんとか月曜日までの期限に書類が間に合った。これでやっと家に帰られる 気づけば、、時刻は9時半をまわった。 さすがにこれ残業を以上するのはいけないと思って、助けてもらった相原主任に「ありがとうございます」とお礼をいって、仕事を切り上げて帰宅することにした。 帰る間際に、相原主任が 「櫻井さん、危ないから俺が送るよ」 「いえ、大丈夫です」と私は答えた。 「そんなに警戒しなくても、送り狼なんてしないから」 「そういうことをいう時点で、信用できません」と私はいった。 「櫻井さんは、やっぱり、難攻不落だわ」と苦笑いしつつ相原主任はがっくりしていた。 「飲み会の誘ってくださってありがとうございます。でも今日はやめておきますね」 「では失礼します」と私は笑顔で相原主任に挨拶してオフィスをでた。
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