248人が本棚に入れています
本棚に追加
「いらっしゃいませ」とマスターが声をかけた。
「明太子クリーム子パスタとポートワインをお願いします」と男性の声がした。
大人気メニューなんだなっと思ったら、ふと横を見たら、見知った顔がカウンター席に座っていた。
「あ、蒼井くん!」
「あれ、櫻井さんじゃないですか!」
「お疲れ様」
「櫻井さんもお疲れ様です」
蒼井航は私の後輩。
基本は蒼井くんには別の営業事務がついているが、手が足りないときには私が、直接蒼井くんの仕事をすることもある。
社内でも人気モノの彼は整った顔立ちで、イケメンの部類にはいる。
それよりも、なによりも優しいと評判の人物だ。
蒼井くんは「営業先からさっき帰ってたんです」といった。
「そうだったの?大変だったのね、お疲れ様。ここには、よくくるの?」と私が尋ねたら
蒼井くんは「たまにね……。文具商社に勤務している大学の先輩に紹介されて、ここに来るようになったんです」と答えた。
ちょうどその時に注文していた「お待たせしました」と私と蒼井くんのパスタとポートワインとアイオープナーがきた。
「ポートワインは「愛の告白」って意味があるんだよ」とマスターがいってのを聞いて、蒼井くんは「告白するチャンスかぁ」と笑っていった。
そして、にっこり笑顔で私のほうを見たマスター。
絶対仕向けている、社内でも人気モノの蒼井くんが告白するわけないんだからと、私はマスターの意地悪と内心思った。
最初のコメントを投稿しよう!