第一章

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第一章

 「・・・それで? おまえはどうするつもりなんだ?」  「そうですね・・・」  とりあえず合わせておく・・・  「・・・進学するんだな?」  「そうですね・・・」  やはり曖昧な返事。  「おまえなら・・・まぁ、東大合格間違いなしだろうがな」  「ええ・・・まぁ・・・」  東大・・・か・・・  たいして興味の無い世界。  しかし、いまその選択を迫られている・・・  「・・・とりあえずは、その方針で進めておくからな」  「・・・はい、お願いします」  ようやく諦めたのか、対面している人物は書類を整理し始めた。  そう、いま俺がいる部屋は「進路相談室」。  他の人間は、ここで苦悩するらしいのだが、私は2、3分程度で終わってしまった。  「よし、もういいぞ」  「ありがとうございました」  そう告げると、足早に出口へと向かう。  相手も俺のことが分かっているのか、何も言おうとはしない。  「失礼しました」  部屋を出て、ふと時計に目をやる。  ・・・普段なら、もう自宅に着いている頃だ。  「・・・また無駄な時を過ごしてしまった」  そう呟きながら、下校の準備にとりかかる。  俺は、高校3年。  時は7月7日。  世間一般的に今日は七夕である。     
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