無限の可能性は夢幻でしかない?

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無限の可能性は夢幻でしかない?

私達の未来はありとあらゆる可能性に満ちていると考えられている。 大団円かバッドエンドかあるいはその両方かもしれない。 無限に広がる大宇宙、なんて有名な慣用句がある 一寸先は闇と否定的に言われるのも可能性の海に阻まれて先行きが不透明だからだ。 ところが、最新の研究によりどうやら可能性の幅はあらかじめ決められているようなのだ。 先日亡くなったホーキング博士は死の直前に破壊的イノベーションを成し遂げた。 それは多元並行宇宙(マルチバース)を真っ向から否定する理論だ。 彼は終末期の数日前に草稿を書きあげ、私たちの未来に冷水を浴びせた。 その内容を振り返る前に、世間一般に広く浸透している宇宙観を整理してみよう。 可能性の未来は無限の選択肢を保証している。先の事は誰にも予言できないから出来るだけの努力を費やして、結果に裏切られたとしても泣かない。 私たちはそのように教わった。 努力と根性の精神論は宇宙の構造に根拠を置いている。 広く知られている宇宙の成り立ちはこうだ。 まず始めにビッグバンありき。 何もない空っぽの世界に静寂を乱すゆらぎが生じて大爆発が起こった。 そして宇宙が誕生した。 ビッグバンの勢いに乗って宇宙は膨張の一途をたどり、今日に至る。宇宙の点火と同時に時計の針が回り始めた。 宇宙の行く末について、両論併記されていて、一つは「いずれ膨張が停まる」という仮説と「とどまることを知らない」という見解がある。 現在では後者の支持が圧倒的だ。 さて、成長する時間軸は進化論の系統樹によくにている。 今風にいえば分岐する世界線と呼べばいいか。 歴史の苗を宇宙の始まりに植えると幹がメインの世界線で枝葉が「もう一つの世界線」だ。 とにかく、一つの可能性が無数に分岐していく歴史を私たちは信じている。 だから明るい歌詞が私たちを勇気づけてくれる。 ところが天才科学者はこれに「ノー」を叩きつけた。 「無限の可能性など夢幻にすぎない」
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