8:Time to think

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「大したことじゃないんですよ。ただ、『命を食べる』ってことに無自覚だったな、って。よく言うじゃないですか、『若者は海を切り身が泳いでると思ってる』……みたいな。そこまででなくても、割と近いところにいたんだなあ、って思ったんです」 「なるほどねえ。ま、そこまで考えが及ぶのは結構なことさ。ただ、いちいち勿体ぶってちゃ何をやるにも面倒じゃないか。心がけも大事だがね、世の理だとすっぱり割り切っちまったほうが物事は先に進むんだ。でなきゃ、木の一本も伐るに伐れなくなっちまうじゃないか」  そう言うと、あいはいきなり大口を開けてがつがつと勢いよく料理を掻き込む。体力仕事の途中ということもあるが、男子高校生もかくやというがっつき振りには社長の肩書きも形無しだ。これには枸橘も面食らって、何を言うべきか困惑している。
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