6:Graceful Day
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枸橘は車を発進させ、元来た林道を再び辿っていく。顕子は一度後ろを振り返って、一朗とのやり取りを思い出す。最初の外回りは上々とはいかなかったようだ。 (最初だから……は言い訳にならないか。しっかりしなきゃ、ね) 運転は枸橘に任せ、顕子は窓を開けて自然の空気を目一杯吸う。コンクリートジャングルに戻る前に、もう一度山桜の香りを確かめたかったが、帰路では出会うことはできなかった。
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