7:We Are Confidenceman

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7:We Are Confidenceman

『恐怖! 大都会に現れた送り犬』  昨年6月、都内某所。  撮影者の男性は、真夜中に一人で歩いていると、背後に妙な気配を感じた。  男性は最初、ストーカーだと思い、証拠を撮るためスマートフォンで撮影を始める。  すると、そこにはこの世のものとは思えないものが映ってしまったのだ……!  肝心の映像が流れ始める時、ちょうど火にかけたヤカンが沸いたので、顕子はテレビのあるリビングからキッチンへと移動する。  (こういうのって、ついつい見入っちゃうよね。明らかに作り物っぽいけど)  仕事帰りの夜八時半。今日も一日外回りで顕子はくたくたに疲れて帰ってきた。コンビニで買ったカップ麺を開けて、やや寂しい夕食の支度を始める。  おどろおどろしいタイトル表示とともに、これまた恐怖を煽るようなローボイスのナレーション。つづいて、いかにも嘘くさい荒い画質のいわゆる『恐怖映像』をスロー拡大をかけて、映っている何かを大仰にクローズアップする。  テレビで時々放映される、投稿動画を集めた恐怖映像特集。帰ってきて何となくテレビを点けるとやっていたのだが、不思議とだらだらと見続けてしまう妙な吸引力がある。     
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