7:We Are Confidenceman

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 とはいえ、ながら見でも全く問題ないので、顕子はテレビのBGMを聞きながら短いようで長い3分間を待つことにした。  映画『サイコ』のヒステリックなストリングスも、湯気が立つカップ麺が相手だとパロディCMにしかならないだろう。そんなことをぼんやり考えているうちに、顕子は疲れているせいか、キッチンで立ったままぼうっとし始める。  テレビの方では、撮影者が身の危険を感じて逃げ始めたようだ。慌てるような声が録音されている。 『これ狙われてる? 狙われてるの? ……来た! やばいやばいやばい!』  撮影者は走り出したのか、ガサガサというノイズと速い靴音ががつがつと響く。  その後ろを一匹の白い犬が歩いていた。外灯のない住宅街の中、撮影者の男を執拗に追い回している。襲い掛かるつもりなのか、それともただついていくだけなのかは定かではない。走って追いつくでもなく、吠えることもせず、一定の距離を置いて静かに男を追いかけている。  男は追っ手を撒こうとして路地を何度も曲がるが、犬の方はその匂いと足音で暗闇の中でもその存在を見失わない。  やがて男の方の体力が尽き、外灯の支柱にもたれて息も絶え絶えになった。そこへ間もなく、追ってきた犬が現れた。  その犬が外灯の光に姿をさらした時、男は恐怖のあまりその身が凍り付いた。      
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