7:We Are Confidenceman

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 外灯の下に残された犬は、その場でしばらくの間痙攣に苦しみ続けていた。声を上げて訴えようとしたが、壊れた喉ではかすれた息しかできない。 「……ドウ……シテ――」  絞りだした言葉は誰の耳にも届かない。やがて力尽き、動かなくなった。 「――!! 熱っつ!」  指先に沸かしたてのお湯が触れ、顕子ははっと気が付いた。勢いでカップ麺の容器をひっくり返しそうになったが、多少スープがこぼれただけで済んだ。  疲労が限界に来ていたのか、顕子はキッチンに立ったまま意識が飛んでしまっていた。もしも料理中で包丁を握っていたら、大怪我に繋がっていた可能性もある。 (危ない危ない、今日は夜更かしせずにちゃんと寝よう)  カップ麺を手にリビングに戻ると、先ほどの動画に関連した都市伝説をスタジオひな壇で紹介しているところだった。観客のどよめきや、出演者の驚き方のワンパターンに顕子はやや飽き気味だ。 (ほんと、わざとらしいなあ。自然なリアクションにも技術はいるけど、楽な仕事じゃない?)  適当にツッコミを入れつつ、結局顕子は最後まで観てしまった。同時間のニュースを見損ねたのを少し後悔しつつも、すぐに寝支度をしてベッドに入った。
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