7:We Are Confidenceman

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 そんな中で運び込まれたのは、外商員が直接配る予定の山と積まれた中元カタログ。ダンボール一〇箱分にもなる量を、全てチェックして割り振らなければならない。  業務開始早々出入り口付近に置かれているのを見て、顕子はただため息をつくばかりだった。 (これ、今日中に仕分けないとだめだよね……)  枸橘のアシストがない日は、顕子は主に内部の仕事を担当する。外商員が引き受けた案件を、商品を取り扱う部署に取り次ぎ、手配が滞りなく進んでいるかを逐一確認するのだ。単なるつなぎ役、といえばそれまでだが、実際は頻繁にあるキャンセルや数量変更、加えて手配ミスや流通トラブルの多発で常に気が抜けない仕事である。  今日は引き受けている案件が複数あり、緊急性の低い仕分け作業は後回しになる。それでも明日には配布を開始するため、残業してでも終わらせなければならない。 (見たかった番組、録画してなかったな……諦めるしかないか)  定時帰宅推奨とはいえ、客商売に先延ばしはない。時期ものは機を逃せば水の泡。期日が迫れば何を差し置いてもやらざるを得ないのが実情だ。  TV番組はさておき、積み重なる注文の先には商品を待ちわびる顧客がいる。その期待に応えるべく、顕子はさっそく作業に取り掛かる。     
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