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けれど、私の予想は間違っていたらしい。
「あのとき、チラッと見えたんだ。あなたの顔」
「え」
てっきり、先輩は気を失っていると思っていた。見られていたのか。
それにね、と先輩は微笑みながら、さらに衝撃的なカミングアウトをする。
「前から知ってたよ。あなたが、あたしを尾けてること」
「ええっ!」
うそだ。気づいている様子なんて、少しもなかったのに。もしかしたら、油断して、ヘマをしてしまったのだろうか。いつ?どこで?
「先月の雨の日から、だよね。あたし、そういう人の気配みたいなのに敏感なんだ。だからたまにひとりになりたくなるの。でも、あなたは私に声をかけてくることはなかった。それなら、べつにいいかなって思ったんだ」
「ごめんなさい……ダメなことをしているのは、わかってたんですけど」
先輩は首を振った。
「謝らないでよ。あなたは私の恩人なんだから。それに、あなたが見てくれてたから、思いきって告白してみようって気になれたんだし」
「えっ?」
「変だよね。見られてるから勇気がでるなんて。でも、1人だったら、告白どころか、お菓子をあげることすらできなかっだと思う」
ぽかんと口を開けたままの私に、
「ま、振られちゃったけどね」
と先輩は苦笑した。
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