第二十四段階 最高のクリスマスプレゼント

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―――気にしてくれたのか。彼女が俺の事を。 白井の顔に笑みがこぼれた。 「ひどかったからか? 俺の状態が」 「ええ、結構。だから、クリスマス期間なのに大変じゃないかと思いまして。すぐつまめるものでもって」 ―――どうして、彼女は……。こうも簡単に俺を喜ばせてしまうんだろう。どうしたって抱きしめたくなってしまう。でも、そんなことしたら永遠にきっと彼女には会えない。せっかく、こうして来てくれたのに。 「会っていってほしかった」 欲望のままに彼女を抱きしめる行為は、これ以上ないくらいに嫌われる事を意味する。白井は、理性を保ち伸ばしかけた腕を静かに引っ込めた。 「え?」 「せっかく来たなら、会って元気付けて欲しかったもんだな」 「はあ」呆れ顔の貴子。 「どんなに疲れていても、へたばっていても、藤谷さんに会えば忘れられる」 「大袈裟ですね」貴子が、ふっと見せた笑い顔。それを見て白井も微笑んでいた。 「ありがとう。嬉しい。俺にしたら最高のクリスマスプレゼントだ」 「良かったです。思ったより部長が元気そうで」 貴子の髪が風に揺れた。笑うと少しだけ見える左頬のえくぼ。 ―――見てるだけで心が高鳴る。彼女の事をどうやって忘れられるんだ? 到底無理だ。
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