第二十四段階 最高のクリスマスプレゼント

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まだ仕事があるのでと、頭を下げていってしまった貴子を名残惜しげに見送った白井は歩きながら、出入り口付近の太い柱に目を止めた。 ―――誰かいるのか?  目を凝らすと、少しだけ見える人影があった。栗毛色のロングヘアの女性の後ろ姿。その女性の腰のあたりに回っている腕が見える。 ―――あんな所でラブシーンか? 昼から、よくやるもんだ。 抱き合っている風の男女。首を傾けキスをしているようだった。男の頭と顔が目の辺りが見えた。かなりの長身の男は少しかがんで女に覆いかぶさっている。閉じている男の目に見覚えがあった。 ―――ん? あれは……。澤口部長の息子じゃないか? デパートの裏口、太い柱の影で隠れながら濃厚なラブシーンを繰り広げているのは、澤口部長の息子、隆弘だった。 ―――こんな場所であそこまでやるのか? しかし、やっぱり普通の男じゃないな。あいつは。 白井は、頭を横に振った。
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