第二十五段階 イヴの契り

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銀座にあるホテルのイタリアンレストラン。 レインボーブリッジの見える窓際の席。 他の席とは、区切られた二人だけの空間が広がっていた。キャンドルが灯されテーブルには赤い花びらが飾られている。 「メリークリスマス」 貴子と澤口は、微笑んでグラスを合わせた。 ―――なんだか夢みたい。 シャンパンで既にほろ酔い気分になっていた貴子は、体が熱くなっていた。 「二人だけで過ごせて嬉しいな」目の前の澤口は、やはり憧れていた武藤先輩にそっくりの顔で優しげに微笑む。 「私も」 前菜のキャビアを食べている時に貴子は思い出したように尋ねた。 「そう言えば、澤口さんのお仕事って営業だっておっしゃってましたけど……」 「うん。そうだよ。何? 僕の素行調査を始めるのかな?」 「え? あの、そういうつもりじゃないんですけど」 気まずそうに少しだけ目を伏せる貴子。 「信用できない感じなのかな? 俺って」 「いえ、まさか」 澤口は、腰を浮かし貴子の方へ少し身を乗り出して顔を貴子の顔へ近づける。 驚いたように見上げる貴子に触れるだけのキスをした。 唇が離れた後も呆気にとられて澤口を見続ける貴子。 ―――キスされた。どうしよう。どきどきしちゃう。
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